更新日2022年11月17日
JVSJコンサートシリーズⅠ
Band & Vocal Jazz Conccrt 2002
2022.10月27(木)
at 東京・銀座ブロッサムホール
文:BIGBAND! 編集部
意欲あふれる華やかなステージだった。
企画したのは、音楽教育普及とジャズボーカリスト育成を掲げて2015年に設立された日本ジャズボーカリスト協会(以下JVSJ)。
代表理事の三橋りえ氏によると今回のコンサートは、「一線で個々に活躍するジャズボーカリストを選出し、新たな『JVSJボーカルジャズアンサンブル』を結成すること。さらにビッグバンドとの共演によって、より大きな編成の中でジャズボーカルの可能性を創造していく」というもの。
プログラムは、内堀勝ビッグバンドのリズム隊+ヴィブラフォンによるカルテット『Autumn Leaves』でスタート。続く2曲目はJVSJ理事である木場義則率いるジャズコーラスお披露目とも言える『 For Elizabeth』。内堀勝ビッグバンドによるインスト曲3曲を挟み、JVSJ理事の秋葉隆行、三橋りえ両氏のソロ演奏。そしてゲストjammin’Zeb(ジャミン・ゼブ)のステージへ。ラストは、今回のために書き下ろした新たなコーラス・アレンジ曲を含め、コーラスとビッグバンドが共演する密度の濃いコンサートとなった。
新しく結成された『JVSJボーカルジャズアンサンブル』は男性6名女性6名の12名のボーカル・ユニット。ジャズボーカルといえば、花形ボーカリストがセンターで演奏することが主流で、こうした大人数のボーカリストのパフォーマンスに接する機会は、一部のゴスペルなどを除けばありそうでなかったのでは。普段ソリストとして活躍する12名のボーカリストによるアンサンブルの響きは完成度が高く、パワフル。途中随所に入るボーカルソロも、さまざまな音色と個性の違いを聞き比べられる楽しい時間だ。
結成15年というゲストのjammin’Zebのステージも聴き応え充分。特に4人のアカペラの高度な和音は圧巻だった。メンバーは4人とも絶対音感を持っているとのこと。日本にもこんなに華のある実力派ジャズユニットが活躍していたなんて知らなかった。
興味深かったのは、jammin’Zebのボーカルの途中に、内堀氏オリジナルアレンジによるビッグバンドのインスト演奏が挟み込まれていた『You Must Believe In Spring』。目の前で歌とビッグバンドが対等に、自然に、サウンドを調和させていく様子は、一期一会のステージならではの醍醐味だ。
内堀勝ビッグバンド独特の、洗練されたアレンジとさらりとよどみのない演奏はこの日も健在。なかでも久しぶりに聴いた『Strollin’』は素晴らしかった。岡崎正典氏(ts)の抑制の効いた知的なソロをはじめ、今回のコンサート全ステージにおいて、控えめでありながらグルーブの「責任」を一手に引き受けていた稲垣貴庸氏(dr)の存在の大きさに拍手を送りたい。
クライマックスは、JVSJボーカルジャズアンサンブルとビッグバンドの総勢30名を超す音楽家が一同にステージに結集するエンディング。
新しく書き下ろされた『The Girl From Ipanema 』『A Night In Tunisia』『The Party’s Over』からは、輝く音の一粒一粒が弾けるような大きなうねりとなって会場を覆い尽くし、そこにいた誰もが、音楽と一体となる喜びを味わっていたのではないだろうか。
コロナ禍以来、久しぶりに味わうスケールの大きなステージだった。
思うにボーカルジャズアンサンブルとビッグバンドはとても似ているのかもしれない。
その共通点は、優れたアレンジによるアンサンブルと自由なソロ・パフォーマンスが、自在に行き来することで音楽の魅力が高まってくるという点だ。だからこそ、その相性の良さが「声」という素材の魅力を最大限に引き出し、一緒に演奏することでかつてないダイナミックなサウンドを生み出す可能性を感じさせてくれたのかもしれない。
プログラムはシリーズⅠとなっていたが、今後どのように継続・発展していくのか、楽しみだ。
出演者
内堀 勝(cond)
木場義則(cond)
三橋りえ(vo)
秋葉隆行(vo)
内堀勝ビッグバンド
八巻綾一、米田裕也 (as)、岡崎正典、伴田 裕 (ts) 、宮木謙介 (bs)
佐久間 勳、田中 充、宮本裕史、小澤篤士 (tp)
三塚知貴、駒野逸美 (tb)、西田 幹 (btb)
佐久間優子 (p)、佐瀬 正 (b)、稲垣貴庸 (drs)、中島香里 (vib)
内堀 勝(cond & leader & arrange)
JVSJ Vocal Jazz Ensemble
今井里歩 / 三科かをり/ 渡部沙智子 / 眞田 静 / nica / 三橋りえ
PJ / 古川秀幸 / 田中雅史 / tota / 吉田純也 / 秋葉隆行
ゲスト
jammin’ Zeb
司会
石尾和子
Band Arrange
内堀 勝
宮住俊介
Set list
1. Autumn Leaves
2. For Elizabeth
3. Time Limit
4. My One And Only Love
5. Take The “A”Train
6. Spain
7. Two For The Road
休憩
8. Anything Goes
9. As Time Goes By
10. Happy~Tightrope Medley
11. You Must Believe In Spring
12. Alright Okay You Win
13. Strollin’
14. The Girl From Ipanema
15. A Night In Tunisia
16. The Party’s Over
encore
・Why We Sing
・Operator
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